東方美人茶

台湾茶四天王の一角に数えられる東方美人茶はオリエンタルビューティーとも呼ばれます。このお茶は、まさに自然の妙によって作られた偶然の産物です。それは、茶畑の恩恵と言うよりも、自然の恩恵と言うべきものでした。もとは、稲の害虫とされる蝉科ウンカ(小緑葉蝉)に吸われた茶葉が、赤く変色して生長が止まり、葉先が丸まってしまった茶葉を茶農家が捨てるのを惜しみ、その葉でお茶をつくったところ、甘く爽やかで、濃厚な蜜のような香りがし、重宝されたのが東方美人のはじまりでした。
また、東方美人茶は、白毫烏龍茶、椪風茶(膨風茶)、香檳烏龍茶などとも呼ばれます。現在でも味の決め手は、茶摘みをする際に「ウンカ」にしっかりとかじられ、茶葉が発酵していることです。

新竹縣峨眉郷石井村の徐さんの茶園では、偶然とも思える自然の恩恵から学んだ製法を今でも重んじています。自然に逆らわず、農薬を使わず、茶葉をウンカが好んで吸うよう大切に育てることが、東方美人茶作りの秘訣だといいます。ウンカを媒介として、茶樹の上で発酵したお茶と人工的に発酵させたお茶は味や香りに雲泥の差があります。
東方美人の歴史を育んで来た客家が多く住む新竹縣峨眉郷石井村では、今でも昔と変わることなく、先祖代々東方美人の製茶が受け継がれ、客家の人たちの手によって東方美人がつくられています。 空気が澄み、湖が近く、凹凸の激しい地質は、ウンカが生息するのにふさわしい環境と言えるでしょう。最上級の東方美人は、石井村にあります。

香りを聞くと、高貴なお花の香り(花香)、マスカットなどの果実香、蜜香が重層的に変化しながら鼻を駆け巡ります。東方美人茶全体の生産量の中でも僅かにしか出てこないと言われている「花香」が感じられ、味わいのなかにも、花香、果実香蜜香が次々に広がります。エレガントな東方美人茶の世界を存分に味わえる逸品です。

 

東方美人の味と香りは三段階のグレードに分かれると言われています。果実→蜜→花蜜という順番で品質の良し悪しが分けられています。中でも、最高の品質の指標となる花蜜の味や香りのする東方美人茶は茶園で産出される全東方美人茶の全体の1パーセントにも満たないです。
そして、この1パーセントに分類されるものは、品評会で頭等奨の中でも上から10位に入るものだと定義されます。正しく、「新竹縣96(2007)年度東方美人茶(膨風茶)優良茶比賽榮穫」、品評会において頭等奨を獲得した徐燕謀氏の渾身の一品がこのお茶です。究極の「花」と「蜜」を兼ね備えた東方美人茶であります。

また、不規則な食生活やストレス、食物繊維の摂取不足、水分不足などから起こりがちな機能性便秘などは、大腸の働きが弱くなったものと考えられていますが、東方美人茶に多く含まれているポリフェノールは大腸の運動を活発にする効能があると言われています。
ビタミンCが豊富で、アフタヌーンティーとして飲むとゆったりと癒され美肌効果も期待できる東方美人茶は、ぜひ女性に飲んでいただきたいお茶です。

 

 

こんなタイプの方にお勧めです
寒がり
冷え性
便秘気味
汗が出ない
尿量が多く無色透明に近い
夏でもよく熱いものを好む