茶通を支えてくださっている茶師の方々

 

茶師 廖塘華さん

梨山茶凍頂烏龍茶杉林溪番仔田高山烏龍茶

台湾における品評会で、最も多い出展数を誇る南投縣鹿谷郷農会主催「凍頂烏龍茶展售会」は台湾における数ある品評会の最高峰です。多い時で4500の出展数を超え、2002年度冬季品評会の出展数は、4832点でした。

当店の買付担当山道の師匠である廖塘華さんは、台湾における品評会の中でも最も権威のある「凍頂烏龍茶展售会」で、「特等賞」を受賞したことある数少ない高い焙煎技術とテースティング能力に優れた茶師の一人です。茶農たちが心血を注ぎ、提出した自信作の凍頂烏龍茶の中でも栄えある一等賞(一点のみ)を獲得できたのは、単なる幸運ではありません。と言いますのも、台湾最大規模の「凍頂烏龍茶展售会」において、廖塘華さんは四回も特等賞を受賞したことがあるのですから。

 

また、若いころから優れたテースティング能力により、茶葉評審査委員会より、成績優秀者として表彰されたこともあります。 その経歴は輝かしく、桃園の行政院農業委員会茶業改良場の実施する茶葉品評官能検定試験に合格し、十数年間にわたって、南投縣鹿谷郷農会主催の台湾全国第一位品評会「凍頂烏龍茶展售会」における茶葉品評官として、品評会における茶葉審査をしてきました。

 

 

茶師 鄭丁財さん

文山包種茶

鄭家の文山包種茶作りは親子三代にわたって行われており、現在は三代目である鄭丁財氏によって、作られています。三代目鄭丁財氏は、文山包種茶を代表する茶師の一人数え上げられ、茶業改良場(台湾行政院農業委員会)の主任である陳國任氏の推薦する茶師でもあります。

 

丁財さんは、2002年度冬季「坪林郷優良文山包種茶比賽(品評会)」 においては、主催者である坪林郷公所のもと、鑑定を行った1182点が参加し、文山包種茶の比賽(品評会)ということで、品種の限定な判定を勤めました。


一般的に、台茶12號を【金萱】、台茶13號を【翠玉】と言いますが、これは北部地域での新品種の呼び方で、南部地域では、台茶12號を金萱茶というのではなく、台茶27號を【金萱茶】といい、台茶13號を翠玉というのではなく、台茶29號を【翠玉】といいます。また、「坪林郷優良文山包種茶比賽(品評会)」ではこれらの新品種の参加が許されないため、鑑定には十分な留意がなされたようです。


毎年、「坪林郷優良文山包種茶比賽(品評会)」に参加され、特等から優良等にいたる各種の賞を獲得しています。毎年の受賞履歴は多すぎて即答できないようでしたので、特に書き留めていないのですが、毎年何らかの賞を受賞しています。ただし、2002年度冬季は、鑑定側であったため、参加していません。

茶師   林淑媛さん

梅山高山茶梅山私房老茶

林淑媛さんは、10年来、一回も、一発合格者を出したことがなかったことで知られる桃園の行政院農業委員会茶業改良場の実施する「茶葉品評官検定試験」を一発合格したテイスティングの天才です。

 

近年、日本では、烏龍茶ブームにあいまって、梅山郷の高山茶をご紹介している本も少なくはありませんが、一重に梅山郷と申しましても、その中の区分けは非常に複雑です。

フランスのワインの知識がおありの方はご理解いただけるかもしませんが、そもそもワインの世界では、畑が数メートル離れただけで、その味はまったく別物と考えられ、取引される値段も、時として何倍もの差が出ます。このワインの品質の区分けに見られる考え方は決して間違いではないと林さんも考えています。それは、むしろテロワール(土壌・気候・ブドウ品種の三つの幸運な結合によって造り出されているブドウ畑を特徴付けるような条件の結合を、フランスではテロワール(terroir)と呼ぶ)を重視する上では、当然の帰結というべきでしょう。しかし、現状では台湾国内においてさえ、厳密な区分けは、されておりません。

 

林淑媛さんは、早くからこのような問題を指摘するとともに、自分がテイスティングした判断を元に、それぞれの茶葉の品質に基づいて、値段を定めている数少ない茶農、茶師、茶商でもある一人です。

 

又、一品茗茶(茶荘)、一品渡假村(飯店) を経営しており、そのテイスティング能力から再現される味の定評は高く、高雄からは定期的にバスツアーで、多くの人がやって来ます。

 

林淑媛さんのお気に入りの「私工房茶」という茶名の由来は、「本当に良いお茶も、台北などの都市に運ばれる頃には、仲介業者である茶商の手によって、茶師や茶農の名前及び産地名などの表記が全てなくなり、誰が焙煎したか、どこから採れた茶葉かなどの厳密な事がわからなくなる」ことを憂いて林さんが命名したものです。

茶師 徐明鋒、徐乾富兄弟

東方美人茶

現在は、四代目に世代交代が進んでいますが、三代目が徐燕謀氏が認めるまで、四代目を名乗ることはないと謙虚に答える徐明鋒、徐乾富兄弟は、現在も最高の東方美人茶をつくるために修行中です。修行のかたわら、台北に赴き、有名な茶荘を回り、様々な東方美人茶を試飲して回ったところ、十件中二件ほどしか、本物の東方美人は置かれていなかったといいます。それほど、本物の東方美人茶は生産量も少なく、希少なものなのです。

 

四代目の徐兄弟は、早く父親の徐燕謀氏のように新竹縣政府が実施する「東方美人茶(膨風茶)優良茶比賽榮穫」と呼ばれる品評会で入賞したいと語るかたわら、「東方美人茶は、まさしく自然の恩恵によって味が決まります。そのため、自分たちにできることは、自然に逆らわず反しないようにすることです」とも言います。これも、老荘思想の影響を付く受けた父親の姿が受け継がれているのでしょう。そう、おいしいお茶が語るものは、味や香りだけではなく、茶師の表現そのものであり、思想なのだと感じさせられます。